ログイン/ログアウトの裏側:セッションとは?
Web アプリケーションの要素技術である HTTP はステートレスなプロトコルです。 つまり、素の HTTP だけでは、過去に実行したリクエストの内容を記憶できません。
多くの Web アプリケーションでは、一度ログインするとしばらくの間はログイン状態が保持されます。 これはどのように実現されているのでしょうか。 このレクチャーでは、Web アプリケーションをステートフルにするためのセッションについて学びます。
セッションとはなにか?
セッションとは、Webアプリケーションがユーザーの状態やアクティビティを追跡するための仕組みです。 インターネットの基礎となる HTTP プロトコルはステートレスです。 これは一連のリクエストとレスポンスにまたがってユーザーの情報を覚えておく能力がないことを意味します。 セッションはこの制約を克服し、ユーザーがWebサイトにログインしている間に特定のデータを保持することを可能にします。
セッションは主に以下のような情報を管理します:
- ユーザー識別情報(ログインID、アカウント情報)
- 認証ステータス(ログインしているかどうか)
- ユーザーの設定や選択
- ショッピングカートに追加された商品などの一時データ
これらの情報は、セッションIDと呼ばれる一意の識別子に関連付けられ、ブラウザとサーバー間でやり取りされます。
セッションはなぜ必要か?
セッションは、ユーザーにパーソナライズされたインタラクティブな体験を提供するために不可欠です。 ステートレスな HTTP プロトコルでは、以前のリクエストに基づいて次のアクションをカスタマイズすることはできません。
オンラインショッピングサイトを例に考えてみましょう。 商品をカートに追加しても、ページを移動するたびにその情報が失われてしまうとしたら、非常に使いづらいものになってしまいます。 セッションがあることで、サーバーは「あなたがカートに何を入れたか」や「あなたが誰であるか」を覚えておくことができ、それに応じて適切なレスポンスを返すことができます。
セキュリティの観点からも、セッションは極めて重要です。 ログイン認証されたユーザーのみがアクセスを許されるべき情報や機能へのアクセス制御を可能にし、セッションを通じてユーザーを識別することができます。
セッションを活用したログイン/ログアウトプロセス
ユーザーがユーザー名とパスワードなどの認証情報を提供すると、サーバーはその認証情報を検証し、正しい場合はセッションIDを生成します。 これがログイン処理の裏側の仕組みです。 このセッションIDはクッキーに保存され、以降のすべてのリクエストに対してサーバーに送信されます。 これにより、サーバーはユーザーを認識し、セッションデータを用いてパーソナライズされたコンテンツを提供できます。
一方、ログアウトプロセスでは、サーバーはユーザーのセッションIDを無効にし、関連するセッションデータを破棄します。 これにより、以降のリクエストがユーザーと関連付けられないようになり、ユーザーはログアウト状態となります。
まとめ:セッションによって Web アプリケーションをステートフルにできる
セッションは、Web アプリケーションとユーザー間の連携を円滑にし、セキュリティを保ちつつ個々のニーズに合わせた体験を提供するための基盤となっています。
- セッションはユーザーの識別情報やアクティビティを管理し、パーソナライズされた体験を提供するために不可欠です
- セッションによりHTTPのステートレス性を補います。ログイン状態の維持やリクエストを跨いでの情報保持が可能になります
- セッションはユーザーが入力した認証情報が正しい場合に発行され、ログアウト時などに破棄されます
Webの世界では目に見えないところで多くの技術が働いています。 今回紹介したセッションはその中でも特に重要な役割を担っており、Spring Security を使って Web アプリケーション開発をするときに必須の知識です。 このレクチャーで学んだ知識を活用して、Spring Security を使った Web アプリケーション開発を進めていきましょう。